第73回【資料公開コーナー】歌詞カードにみる戦後歌謡
令和元年7月2日(火)~9月23日(月)
皆さんは終戦後、最初に製作・発売された歌謡曲をご存じですか。
昭和20年(1945)10月に公開された映画『そよかぜ』の挿入歌として大ヒットをした「リンゴの唄」です。並木路子の明るい歌声は、苦境の日々を送っていた人びとに希望を与えました。
あらゆる物資が不足していた終戦直後、レコード盤や蓄音機を手に入れることは容易ではなく、空襲情報を聞くために普及していたラジオから流れる音楽や映画の挿入歌がヒット曲の誕生に大きな役割を果たしていました。
当時のレコード産業は、戦時下での機械の供出や空襲による工場の被害などにより、厳しい状況に置かれていましたが、日蓄工業(現:日本コロムビア)は、終戦から2か月後にはSPレコードと蓄音機の生産を再開します。
少しずつSPレコードの生産は回復し、歌謡曲の生産が中心となる中、歌手の肖像写真の入った歌詞カードが花を添えました。
今回は、昭和館が所蔵する戦後歌謡の歌詞カードを中心にご紹介します。今年は美空ひばりの没後30年にもあたります。デザイン・仕様もさまざまな歌詞カードを当時の音源とともにお楽しみください。
「東京の人さようなら」の歌詞カード
展示内容
【1】額入りで展示(12点)
- 「月形半平太の唄」(美空ひばり)
- 「君はマドロス海つばめ/港は別れてゆくところ」(美空ひばり)
- 「港町十三番地/伊豆の乗合バス」(美空ひばり)
- 「青春の恋人たち/別れのトロイカ」(美空ひばり)
- 「テネシー・ワルツ/家へおいでよ!」(江利チエミ)
- 「ルビー/貴方ひとりのために」(雪村いづみ)
- 「有楽町で逢いましょう/夢みる乙女」(フランク永井/藤本二三代)
- 「歌で別れる港町」(若原一郎)
- 「青春サイクリング/愛のそよ風」(小坂一也/藤田進・湯川きよ美)
- 「流転波止場」(三橋美智也)
- 「星はなんでも知っている/ロック夕やけ小やけ」(平尾昌章とオールスターズ・ワゴン)
- 「南国土佐を後にして/ドクトル・ジバンヌ」(ペギー葉山)
【2】ケースでの展示
歌詞カードと実物資料
- 「東京の人さようなら」(島倉千代子)
- 「ロカビリー剣法/花笠道中」(美空ひばり)
- 「みれん峠/別れの波止場」(三橋美智也/春日八郎)
- 「東京のバスガール」(コロムビア・ローズ)
- 歌集
ピクチャーレコード
- 「静かな雨のロマンス」(勝新太郎)
- 「夜更けの桟橋」(大木實)
- 「今宵かぎりのボレロ」(矢島ひろ子)
- 「千福小唄」(鈴木三重子/テイチク合唱団)
- ピクチャーレコード
【3】試聴コーナー
- 展示で紹介した歌詞カード、SPレコードの一部の音源を試聴機コーナーで紹介。