第69回【資料公開コーナー】禁じられた音楽-自由に楽しむことができなかった時代-
平成30年7月3日(火)~9月24日(月)
わずか75年前、音楽を自由に楽しむことを禁じられた時代があったことを皆さんはご存知でしょうか。
昭和18年1月、ジャズやハワイアンなどの米英音楽が「敵性音楽」とみなされ、内務省と情報局から1,126枚のレコードの演奏や発売を禁止するよう通達が出されました。米英の音楽は「卑俗低調」で、国民の士気と健全な娯楽の発展を妨げるというのが理由でした。
それと同時期に、レコード会社は社名とレーベルの変更を余儀なくされ、「ポリドール」が「大東亜レコード」、「コロムビア」が「ニッチク」に、「キングレコード」が「富士音盤」と改称しました。
禁じられた楽曲の中には、現代の私たちにとっても馴染みのある曲も数多く含まれています。今回は、昭和館で所蔵するSPレコードの中から、「敵性レコード盤」の一部と曲を紹介するとともに、当時の新聞や雑誌記事をあわせてご覧いただきます。
『写真週報』第257号(昭和18年2月3日発行)
展示内容
【1】額装とパネルで展示(8点)
- 『街からも家からも 米英音樂を一掃 整理音盤、千余種を指定』(「毎日新聞」昭和18年(1943)1月14日)
- 『写真週報』第257号(昭和18年(1943)2月3日発行)
- (A面)「NATIONAL EMBLEM MARCH」(別名:ナショナル・エムブレム)
(B面)「THE STARS AND STRIPES FOREVER MARCH」(別名:星條旗永遠なれ)
- (A面)「THE OLD FOLKS AT HOME」(別名:故鄕の人々)
(B面)「MY OLD KENTUCKY HOME」(別名:懐しのケンタッキー)
- (A面)「ST. LOUIS BLUES」(別名:セント・ルイス・ブルース)
(B面)「DUSKY STEVEDORE」(別名:眞黑な荷場人足)
- (A面)「WHO'S AFRAID OF THE BIG BAD WOLF?」(別名:狼なんか怖くない)
(B面)「SHANGHAI LIL」(別名:上海のリリー)
- (A面)「ALOHA OE」(別名;アロハ・オエ)
(B面)「TA HU-WA-HU-WAI」(別名:タ・フ・ワ・フ・ワイ)
- 「Auf einem persischen Markt」(別名:ペルシャの市場にて)
【2】ケースでの展示(2台)
当時の雑誌記事
- 『写真週報』第257号(昭和18年(1943)2月3日発行)
- 『レコード文化』第3巻第3号(昭和18年(1943)3月1日発行)
社名変更したレコード会社の盤
- 「日本盆踊り」
- 「怒濤萬里」
- 「シボネー」
芸名を変更した歌手
- 『テイチクレコード月報 6月』(昭和16年(1941)6月頃発行)
【3】試聴コーナー
- 展示パネルで紹介した敵性レコードの曲について試聴機コーナーで音源を紹介。