浪曲(浪花節)は明治初期から確立された芸能で、三味線を伴奏に「節(ふし)」と「啖呵(たんか)」で物語を進める語り芸です。
都市の芸能として発達した落語や講談とは異なり地方の人びとにも親しまれ、昭和7年(1932)に行われたラジオの趣向調査では57%の支持を得て「浪曲(浪花節)」が一位となりました。演者である浪曲師の数も昭和18年には約3,000人にのぼり、2代目天中軒雲月(てんちゅうけんうんげつ)をはじめとした女性浪曲師や、篠田實(しのだみのる)や春日井おかめのような少年・少女浪曲師が活躍するなど、老若男女問わずスターが誕生しています。
演目も多種多様で、落語や講談・歌舞伎などと共通する義理人情に訴えかける作品の他、武芸物、出世物、任侠物、悲恋物、ケレン物(外連、お笑い)や当時の流行を取り入れたものもありました。その人気にあやかり、戦時中は「愛国浪曲」などの戦意高揚を図る国策の浪曲なども誕生しました。
戦後も浪曲人気は続きましたが、テレビの出現など娯楽の多様化が進むと下火になっていきました。そんな中、村田英雄(むらたひでお)や三波春夫(みなみはるお)の様に浪曲師だった経験と声を活かし歌手として活躍する者も現れ、新たなスターの誕生に繋がっています。
今回は、昭和館が所蔵する浪曲の歌詞カードとSPレコードをご紹介します。
【1】額入りで展示(歌詞カード7点・写真ニュース1点)
【2】ケース展示その1(レコードアルバム&ケース2点・SPレコード2点)
【3】ケース展示その2(SPレコード1点・実物資料・2点)
【4】試聴機コーナー
SPレコードの一部の音源を試聴機コーナーで紹介。