東海道新幹線は昭和39年(1964)10月1日に開業し、今年で60周年を迎えました。東京~新大阪間を約4時間で結ぶ「夢の超特急」は昭和34年4月に着工し、さまざまな苦労と努力によって約5年の歳月をかけて開業にこぎつけました。
戦後焼け野原となった日本は各地で建設ラッシュが続き、昭和31年の『経済白書』では「もはや戦後ではない」と言われた驚異的な復興を遂げていました。その後も経済成長が続き、人や物の往来が増大したため輸送の大動脈である東海道本線の輸送力がひっ迫していました。
そのため昭和32年頃から戦時中にとん挫していた「弾丸列車」計画を引き継ぎ、超高速運転で大量輸送ができる新幹線が計画されました。そして昭和34年5月に、昭和39年の夏季オリンピックが東京で開催されることが決定すると、東京オリンピック開催までに開業することが望まれました。
世界初の超高速運転となる新幹線は車両の開発から始まり、試作車両を使用したテスト走行などが専用区域で繰り返されました。そして線路工事では新たな用地買収や新丹那トンネルの掘削工事もあり、完成は開業間際になりました。東海道新幹線建設によって変化していく風景、そして待ちわびた人々の思いを感じていただけたら幸いです。
【1】額入りで展示(実物1点・写真7点)
①「日本の動脈新丹那トンネル完成急ぐ ことしは最大の難所にいどむ」
(『日本写真新聞 日写フォトニュース』 第986号〈3〉)
(静岡県熱海市・静岡県田方郡函南町 昭和36年(1961)1月)
②「東海道新幹線建設予定地」
(愛知県知立市 昭和37年(1962)3月 太田畯三撮影)
③「有楽町駅 中央口付近」
(東京都千代田区有楽町 昭和37年(1962)9月 持田晃撮影)
④ 「新幹線試験車両」
(神奈川県小田原市鴨宮 昭和37年(1962)11月 太田畯三撮影)
⑤「大阪 梅田駅付近」
(大阪府大阪市北区角田町 昭和39年(1964)9月 太田畯三撮影)
⑥ 「車両基地に停車中の新幹線」
(東京都 昭和39年(1964)9月 太田畯三撮影)
⑦「新大阪駅」
(大阪府大阪市淀川区西中島 昭和39年(1964)9月 太田畯三撮影)
⑧「東京駅ホームに停車中の新幹線」
(東京都千代田区丸の内 昭和39年(1964)10月 太田畯三撮影)
【2】映像上映
・毎日ニュース第385号「夢の超特急街を行く」(昭和37年4月):約1分
・毎日ニュース第396号「夢の超特急公開運転」(昭和37年7月): 約1分
・毎日ニュース第408号「新丹那トンネル貫通」(昭和37年9月):約40秒