「春日大社に向かう学生たち」
奈良県奈良市春日野町
昭和35年(1960)3月
「修学旅行」は昔から学生たちが楽しみとする学校行事のひとつで、その体験や光景が想い出として残っている方も多いのではないでしょうか。
日本の「修学旅行」は明治19年(1886)に東京高等師範学校(現・筑波大学)が行った宿泊を伴う “長途遠足(ちょうとえんそく)”がそのはじまりとされ、千葉県銚子方面の全行程約260Kmのコースを12日間かけて徒歩で巡り、集団行動で連帯感を深め、訪問先で知見を広めることを目的としていました。
昭和に入ると鉄道網が発達し、多くの小・中学校でも修学旅行が実施されるようになり、学校行事の一つとして定着していきました。
昭和10年(1935)前後からは、名所旧跡等の見学だけでなく、武運長久祈願の参拝が修学旅行にもみられ、紀元二千六百年記念行事(昭和15年)に先立ち橿原神宮整地の勤労奉仕を行程に組み込む学校もありました。
しかし戦時体制強化と共に、鉄道が軍事輸送を優先するようになり、昭和15年に文部省から「修学旅行制限」の通牒(つうちょう)が出されると、各道府県で修学旅行の取りやめが相次ぎ、昭和18年6月の記録を最後に中止されました。
戦後、交通・食糧事情の悪い中、米を持参するなどして徐々に修学旅行は復活し、戦後復興の進展と共に実施校は増加していきました。
昭和33年の学習指導要領改訂で、修学旅行は学校行事の教育活動の一つとして位置づけられ、翌年に修学旅行専用列車「ひので号」「きぼう号」の運行が開始されると、修学旅行はより活発に行われるようになりました。
今回は当館所蔵の写真資料で昭和10年から30年代の修学旅行の様子をご紹介します。
【1】額入りで展示(写真8点)
【2】ケース展示(実物資料1点)
【3】映像上映