この特別企画展は平成26年3月15日(土)~5月11日(日)に開催され、好評の内に終了しました。
このたび昭和館では、「夢と希望と困難と~昭和の働く女性」と題して、特別企画展を開催することとなりました。
大正末期から昭和の初期にかけて、女性の就業者数は時代とともに増加していきました。新しい職種も拡大し、電話交換手やタイピストなどに就く「職業婦人」が活躍します。
しかし、日中戦争が始まると女性を取り巻く生活環境も大きく変化します。出征した男性に代わり女性はさらに多様な職種を担わざるを得ず、家事労働や農漁業あるいは自営業者においても、国策による動員も加わり過重な負担となりました。
戦後も働く女性の労苦は続きますが、地位向上にむけた動きが進むなか、次第に様々な分野で女性の社会進出がみられるようになります。
本展では、戦中・戦後の家庭や社会にでて「働く女性」に焦点をあて、その時代を生きた女性の夢や希望、様々な困難を紹介します。
主催 | 昭和館 |
会期 | 平成26年3月15日(土)~5月11日(日) |
会場 | 昭和館3階 特別企画展会場 |
入場料 | 特別企画展は無料(常設展示室は有料) |
昭和の時代に入ると、産業の発展とともに女性の職種は広がり、女性労働者も著しく増加していく。なかでも「職業婦人」の活躍は、社会における女性の活動領域を拡大させていった。
職業婦人の職種一覧
記者 | 裁縫手 | 案内係 |
事務員 | タイピスト | エレベーターガール |
事務員見習 | 電話交換手 | エスカレーターガール |
店員監督 | 家政婦 | ゲーム取 |
店員 | 雑役婦 | 車掌監督 |
外交員 | 炊事婦 | 車掌 |
医師 | 掃除婦 | 食堂給仕監督 |
看護師 | 守衛 | 食堂給仕 |
製図手 | 小使 | 女中 |
図案手 | 受付係 | 女優 |
写真技術員 | 下足番 | ステージダンサー |
音楽手 | 出札係 | 女工監督 |
仕立物検査員 | 給仕 | 女工 |
接待係 | 接待係 | 女工見習 |
※ゲーム取・・・玉突き(ビリヤード)の球場で得点を数える人
東京市内で資本金五十万円以上の銀行、会社及び職工30人以上の工場に従事する女性従業者を対象に行われた調査の職種一覧。そのため、全ての女性職種が網羅されているわけではない。
東京市役所編『婦人職業戦線の展望 附録 統計編』より作表
百貨店・大丸の商品券売り場
戦前
昭和12年(1937)、日中戦争が始まると出征する男性に代わり、女性は社会的役割を強く求められるようになる。家事労働に加え、勤労奉仕や女子挺身隊などの労働は過酷なものであったが、その一方で、女性があらゆる職種に就くようになり、戦時下の労働は女性の職場進出の契機ともなった。
戦死者の新盆を見舞う国防婦人会
昭和13年(1938)
熊谷元一撮影 岩波映像提供
『大東亜戦皇国婦女皆働之図 春夏の部』
筥崎宮提供
※複製(約1/2スケール・1,500mm)として展示予定
バスの運転手も女性に
昭和18年(1943)
毎日新聞社提
鉢巻
熊本県立第一高等女学校(現・熊本県立第一高等学校)に在学していた山田英子さんが、学徒勤労動員でエンジン製造をしていたときに工場から支給されたもの。ボール盤や旋盤作業などに従事していたために、機械の油が付着している。
昭和20年(1945)
終戦をむかえて社会の混乱が激しいなか、深刻な物資・食糧不足による苦しい生活の日々が続いた。働く女性は新しい時代にむけて動き出していく。
弁当箱
戦争で夫を亡くした岩手県の八倉愛子さんが昭和22年(1947)頃、生計を立てるため専売局に就労した時に購入したもの。
昭和36年(1961)9月
東京婦人職業補導所で授業を受ける婦人たち
昭和22年(1947)9月
毎日新聞社提供
スチュワーデス1期生入社
昭和26年(1951)8月
日本航空提供
※初代スチュワーデス制服も展示予定
澁谷駅前をパトロール中の女性警察官
昭和34年(1959)
警視庁提供
女性警察官制服
昭和32年(1957)頃
警視庁蔵
戦後の混乱期を経て、1956年(昭和31)の『経済白書』に「もはや戦後ではない」と述べられて以降、日本は急速に高度経済成長期へと移行していった。人々の生活は消費型生活へと移り変わることで、女性をとりまく生活環境もまた変容していく。
家庭電化ブーム到来で、店頭に並ぶ洗濯機やテレビ受像器など
昭和30年(1955)
読売新聞社提供
電気炊飯器
スイッチひとつで自動的にご飯が炊ける初めての製品。主婦の家事労働に大きな変化を与えた。
昭和30年(1955)発売
電子計算機には欠かせない作業を行うキーパンチャー
昭和38年(1963)
毎日新聞社提供
製菓工場でお菓子の箱詰めをする女性パートタイム
昭和43年(1968)5月
毎日新聞社提供
<テーマ展示> 女性のよそおい
昭和元年(1926)から40年頃までの女性のおしゃれの流行を紹介します。
<ポスターギャラリー>
昭和10年(1935)から40年頃までの女性の姿が描かれたポスターを紹介します。
化粧品瓶(再生ガラス製)
ガラスの原材料確保が困難となり、再生ガラスで化粧品瓶が製造された。本来であれば化粧品の容器は購買欲をそそるような華美で豪奢なものであるはずが、様々な色の屑ガラスを原料としたためこのように黒い瓶となった。
ポスター「国民総決起」
昭和19年(1944)
女性の労働者が増加するにつれ、女性自らよりよい労働環境を求める就業意識の向上がみられるようになった。それは昭和60年(1985)に「男女雇用機会均等法」が成立する大きな原動力となっていく。
今回の特別企画展のテーマに沿った戦中・戦後の体験談を話者にそれぞれお話しいただきます。
期日 | 3月30日(日) 14:00~15:00 |
会場 | 1階ニュース・シアター (座席数:60席。当日13:00より1階ロビーにて整理券を配布します。) |
上映作品 | 「虚栄は地獄」 〈大正13年(1924)制作〉 「子宝騒動」 〈昭和10年(1935)制作〉 |
大道芸や飴細工の実演、昔の遊びなどを中心としたイベントを行う。
日時 | 4月5日(土)・6日(日) 11:00~15:30 |
会場 | 昭和館2階ひろば |
日時 | 3月29日・4月26日(土) 14:00から45分程度 |
会場 | 3階特別企画展会場 |
開催 | 平成26年3月 |
タイトル | 夢と希望と困難と~昭和の働く女性~ |
在庫 | 在庫有り |
目次情報 | プロローグ I.戦時下の女性たち 1.たすきをかけて~銃後のつとめ~ 2.男性に代わって 3.戦時下を支える Ⅱ 混乱期を生き抜いて 1.戦争が終わって 2.新制度の確立 3.様々な女性職種 Ⅲ 社会進出への新しい展開 1.生活環境の変化 2.職種の広がりと共働きの増加 テーマ展示 女性のよそおい エピローグ 法令関係資料 困難を乗り越えて夢と希望を掴む 学芸部 橋口佳緒理・吉葉愛 出品目録 |
価格 | 600円(税込) |
お問い合わせ
〒102-0074 東京都千代田区九段南1-6-1 昭和館学芸部 橋口・吉葉
TEL.03-3222-2577